マインドマップに期待できる2つの効果と注意点
マインドマップの提唱者である、トニー・ブザンは言う訳です。
「記憶(想起)に重要な二大要因は【関連付け】と【強調】である」
で、この2つの要素を活かす為に
- 情報処理の本質
- 脳細胞の構造と機能
- 天才達のノート法
- 大脳皮質の研究
以上の理論を構想の裏付けとし、誕生したのが、トニー・ブザンのマインドマップなんですよね。
マインドマップは、人間の思考過程に即した方法なので、創造的思考ツールでもあり、記憶術や、メモの手法としても使えます。便利。
正しいマインドマップの使い方を身につける事ができたなら、ノート術(思考ツール)の1つとして、活躍してくれる筈です。
マインドマップのメリットとしては、連想の全体像と、その詳細を一覧できる点にあります。
主題とする情報に伴う連想全体の把握に、一役買う訳です。
マインドマップ2つの効果
- ゲシュタルトの利用
- 思考プロセスの可視化ができる
マインドマップの効果はゲシュタルトにあり
人間の脳は、与えられた空間を埋めようとする仕組みというか、癖があります。
脳はパターンや完成を予測する傾向がある。
たとえば、「1、2、3」と続けば、たいていは「4」と付け加えたくなる。
出典:ザ・マインドマップ/トニー・ブザン /27p
これをゲシュタルトって呼ぶんですが、この癖を利用する事で、連鎖的にイメージを引っ張ってくる反応を促す事ができます。
つまり、ブレインダンプとしての側面があるんですよね。
参照記事:【考える】とは可視化する事である【ブレインダンプ】
敢えて余白を作る事で、脳の奥にあるイメージを可視化できます。
マインドマップのメリットは思考プロセスの可視化にあり
例えば、生活の中で「こうしよう」と、決めた事があったとします。
でもそれって、何の脈絡もなく決定しますか?
何か切っ掛けがあって、自分なりに考えて、仮説とか裏付けがあってこそ、辿り着いた選択な訳ですよね。
何かを変えようと、意識的に習慣に取り入れるものです。
ただし、その際に留意すべき点があります。
【何故それをするのか】っていう文脈を切らすと、いつの間にか手段が目的化するんですよ。
手段を習慣化する所に意識が傾くと、時に、この「何故か」ってところを忘れてしまう訳です。
例えば、サバ缶に含まれるDHAが脳に良いと、テレビで知ってから毎日食べてる内に、毎日食べる事が目的になって、数年後に、なんでこれ食べてるんだっけ?みたいになるって事。
結論に至るまでのプロセスを可視化しておけるっていう点に於いて、マインドマップには有用性があります。
ポイントは、思考プロセスを残そうと意識しなくても、結果的に残ってるってところですね。
遠くを見ないと、目先の事に囚われてしまいがちですから、やる事の多い現代人には、あつらえ向きなんじゃあないでしょうか。
【注意点】ブランチは文章ではなく単語区切り推奨
出典:ザ・マインドマップ/トニー・ブザン /102p
これもマインドマップのルールを知らないと、やってしまいがちなんですが、1つのブランチに乗せるキーワードは、なるべく文章にはしない方がいいです。
トニー・ブザン的には、単語区切りの方を推奨しています。
なんで単語区切りで階層化させた方がいいかっていうと、連想の幅を取る為です。
文章だと、ブランチの広がりが極端に狭くなるんですよね。
単語単位で刻んでいく事で、思考の拡散を補助する構造になるんです。
そして余地があれば、ゲシュタルトは機能しますからね。
【ザ・マインドマップ】を読んで見付けた6のコツ
さて、もう少し踏み込んでみます。
此処で更に、僕なりのフィルターを通すと、以下のようなルールが、正しいマインドマップを書く為に必要なポイントじゃないかという見解です。
- 最初から綺麗なマインドマップを書こうとしない
- ブランチは曲線で描く
- メインブランチの抽象度を揃える
- ブランチは時間を掛けずに伸ばしていく
- キーワードだけではなくイメージ(絵)も入れる
- メインブランチは3〜7くらいがいい
綺麗に書こうとしないとか、スピードを上げて書くのは、無駄な思考を排して、連想に集中する為です。
イメージに関しては前回の記事でも記していますが、絵の持つ情報が、言葉1つの持つ情報を遥かに凌駕するからです。
参照記事:【ザ・マインドマップ】本を読んだレビューと使い方【読書メモ】としての最適解となるか?
メインブランチの数が3〜7ってのは、人間の短期記憶の限界が、そのくらいの数字だからです。
所謂、マジカルナンバーですね。
で、マインドマップの構造を最も左右する作業って、メインブランチの分類と、抽象度の整理なんですよね。
此処がガタガタだと、マインドマップではなくクラスタリングになってしまうと。
でも最初からコレを揃えようとすると、却って自然な連想を滞らせる事になるので、先ずは思い浮かんだイメージを、思い浮かんだ通りに繋げていく事を優先させる方が良いでしょう。
逆に言えば、抽象度が揃えられるようになれば、マインドマップも自然と整理される筈です。
以下はその一例。
出典:ザ・マインドマップ/トニー・ブザン /
こう見ると、メインブランチの抽象度が揃ってるってのが、どう言う事かわかりません?
ごちゃごちゃのマインドマップでもOK
慣れない内は僕のように、マインドマップではないマインドマップを描いてしまう人も居るかと思います。
カオスな出来栄えになってしまうかもしれませんが、でも、それでいいんです。
何故なら、セントラルイメージから伸びていく、連想のプロセスそのものが、紙に可視化されているだけだからです。
時間が足りなかったり、講義内容がわかりにくかったりしたせいで、一見ごちゃごちゃのマインドマップになってしまうこともあるだろう。
これは、そのマインドマップが「悪い」ことを示しているのではない。その時点での脳の状態や、脳が受け取った情報が反映されているだけなのだ。
出典:ザ・マインドマップ/トニー・ブザン /103p
頭の中の情報の結び付きが、全然整理されてないなーって事を自覚して、何回でも描き直したらいいんですよ。
寧ろ、最初から2、3回描くつもりで描くくらいが、丁度いいかもしれませんね。
ザ・マインドマップはその辺、詳しく書かれていて読み応えがある本なので、もっと知りたいという方は読んでみて下さいな。
因みに、乱読のセレンディピティっていう本は、ザ・マインドマップと同時に読むと、ゲシュタルトっていう観点に於いて、良い感じにシナジーが起こる本です。