なぜジブリ映画の主人公は女性ばかりなのか?宮崎駿のインタビューをまとめてみた

2020年3月19日映画レビュー

CUTのジブリ特集

おはようございます。好きなジブリ映画はポニョ。mikioです。どうも。

今回は、誰もがふと、気になった事があるであろう素朴な疑問。

「ジブリ映画の主人公って、女性多いよな」に、対する記事です。

一応、宮崎駿(敬称略)本人の言葉を引用していくので、単なる憶測では終わらないような構成にはなってます。

とは言え、宮崎駿との名コンビである、鈴木敏夫(敬称略)プロデューサーが言うには

宮さんはね、建前を作るのが好きだから

出典:CUT/2010年9月号34p/鈴木敏夫

って言ってるので、どこまで本当なのかはわかりません。

宮崎駿は少年を主人公にしたいと思ってはいる

宮崎駿インタビュー雑誌2010年6月30日のCUTにて

では、僕が保管できている宮崎駿のインタビュー雑誌の中で、主人公の性別について語られている部分を引用してみます。

女性を主人公にする映画じゃだめですよね。本当は少年の主人公が必要なんです。

だけど、それはものすごく悲劇的な映画になってしまうんです。

少年の存在っていうのは、悲劇的にならざるを得ないんです。

出典:CUT/2010年9月号18p/宮崎駿

まず、宮崎駿自身としては、少年を主人公にした映画を作らなければならない。という思いはあるようです。

ただ、ずーっと、一貫して語られているのは、【少年は悲劇的な存在】だという話です。

悲劇的な映画を観終わったとき、観てよかったと、みんなが思えるように仕立てるためには、大変な努力が必要で。

だから、それは僕の手に余るんじゃないかっていう恐怖の方が強いんですよ。

ぼくだけじゃなくて、周りもみんなそうなんですよ。『魁!!男塾』みたいなものを作るんだったらね、そりゃあ、ぼくじゃなくても誰かがやってくれるだろうけど。でも、そういうのじゃないから、周りの男たちを観察しているとわかります。この頃、何をして生活してるのかわからない人間が、こんなに街に溢れているんだって、本当に実感するようになりましたから。

そんな時代だから、女のほうがなんとかなる……いや、なんとかなってるフリをしてるのか、それはわかりませんけど。

出典:CUT/2010年9月号19p/宮崎駿

少年を主人公にしたいけど、できない。

だから、女性になったり、豚になったり、小人になったり、半魚人になったりする。

この辺は、通底する宮崎駿の葛藤のようです。

少年が主人公になり得たのは戦後10年間

インタビュー記事を読んでいると、宮崎駿は、その時その時の、時代の空気のようなものを読んで、作品に反映させています。これは現代アートと共通するところです。

で、この時代背景を踏まえた上で、宮崎駿が語るのは、少年が主人公になり得たのは【戦後10年の間だけ】だったという話です。

これは、繰り返し語られていますね。

第二次世界大戦で負けたときにね、通俗文化は変わらざるを得なかったんですよ。戦争に負けた当事者である大人が、偉そうな顔をして出てきたら許せないんですよね。

だから戦争に負けたあと『まぼろし探偵』ぐらいまでは本当に主人公が少年だったんですよ。それで『鉄人28号』の金田正太郎なんかも署長さんより賢いわけでしょ?それを子供が受け入れたっていうだけじゃなくてね。大人の方も、少年の方が無垢で、だから敗戦の責任持ってませんから、主人公にしたんですよね。

それが『仮面ライダー』あたりから変わってくるんですよ。少年じゃなくてお兄さんになるんですよ。

だから、本当に日本の通俗文化の中で少年が大人とピストルを撃ったりした時期っていうのは案外10年もなかったんじゃないかと思うんですよね。それの影響をぼくは被っているんです。ぼくにとっては、そういう古典的だった方法をとにかくやってみたかったんです。それが『ラピュタ』なんですよね。

出典:CUT/2009年12月号48p/宮崎駿

確かにそう考えると、少年が主人公だったのって、ラピュタのパズーだけなんですよね。

風立ちぬも、設定では20代だった筈なので、少年の範疇には無いです。

紅の豚は、男性ではあるけど、中年のおっさんですしね。

やっぱり、少年が冒険に出ていけたのは、日本では戦後の10年間ですよ。

戦後、手塚さんが出てきて、その10年間は、少年が探偵をやったり、ピストルを振り回したり、チャンバラをやったりても、みんな平気で受け入れられた。大人がやるよりは、子供がやってる方が、力があると思えたんですよ。なんせ大人はバカな戦争をやって負けてね、惨めなことになってしまってたから。

だけどそのうちに、だんだん大人が主人公になってくるんですよ。『仮面ライダー』とか、『月光仮面』とか。そしてマンガの方も、少年が主人公じゃなくなっていくんですよ。だから昔は『鉄人28号』みたいに、少年が警察署長さんをこき使ってるのを受け入れることができたんだけど、今はできないですよね。できないと思います。つまり、少年が主人公になり得たのはその期間だけなんですよ。

出典:CUT/2010年9月号19p/宮崎駿

手塚治虫(敬称略)の公式サイトにもあるように

手塚治虫が創作した漫画とアニメーションが、第2次世界大戦後の日本の青少年の精神形成の過程で果たした役割は計り知れない。

出典:手塚治虫 TEZUKA OSAMU OFFICIAL

僕自身は、戦後の10年を生きていた訳ではないので、その辺の肌感覚がわかりません。

ただ、少年が主人公の漫画・アニメーションって、そういった日本の戦後っていう時代背景があった上で、形成された型だったんだなぁと感じました。

つまり、今の少年漫画ってのは、ある種、古典的なパターンなんだとも言えますよね。

そして宮崎駿の長編アニメ【君たちはどう生きるか】へと繋がる

少年を主人公しなきゃだめなんです。少女がいくら元気よくて、メーヴェに乗ってもですね、今だとそれはだめなんですよ。女はどうせ元気なんだから。

やっぱり少年の悲劇性みたいなものを踏まえた映画でなければ、ぼくはやる必要ないんです。ぼくが出ていく必要がないという。だから困ってるんですよ。ぼくが前に進むっていうのは、そういうことですから。

出典:CUT/2010年9月号26p/宮崎駿

2013年の【風立ちぬ】を最後に、長編映画監督からの引退宣言をした宮崎駿ですが、2017年、新たに【君たちはどう生きるか】という、長編アニメーションへの着手が発表されましたよね。

いつになるかは明確には発表されていませんが、おそらく、あと2年以内くらいには【君たちはどう生きるか】の公開が予定されています。

原作通りの設定であれば、主人公は中学生のコペル君です。少年です。ラピュタ以来ですよね。

こういった文脈から、宮崎駿作品を見ていくと、また違った楽しみが増えます。

宮崎駿のしつこく言っている、少年の持つ悲劇性について、どう描かれるのかも期待したいところです。

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mikio
以上、mikioでした。ありがとうございました。
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