停滞した気持ちを前に向かす【邦ロック】5選
進みたいのに、上手く進まない。
そんな状況と状態って、ないですか?
今回は、抗う気持ちに重なる、前のめりな曲調。歌詞。
壁をぶっ壊して、心だけが飛び出してしまうような、そんな曲を5曲並べましたので。是非。
題して、【さぁいこう!ソング】5選でございます。
- 望遠のマーチ/BUMP OF CHICKEN
- 会心の一撃/RADWIMPS
- New Tribe/a flood of circle
- 呼吸を忘れて/ircle
- sailing day/BUMP OF CHICKEN
※順不同
「いこうよ」望遠のマーチ/BUMP OF CHICKEN
嵐の中も その羽根で飛んできたんだ
いこう いこうよ
出典:望遠のマーチ
BUMP OF CHICKEN/藤原基央
BUMP OF CHICKENが放つ楽曲としては、珍しい色合いの曲です。
何故なら、風通しの良い、みずみずしい曲だからです。
疾走感とはまたちょっと違う、軽さを感じます。
藤原基央(敬称略)は、自分でもシダ植物だと公言しているくらいの。
なんというか、短絡的に言えば【暗い】人です。それくらい、内省的で、思慮深いって事なんですけどね。
そんな感じなので、いつもと違う、不思議な透明感が曲全体を包んでるんですよ。
しかも、サビで繰り返されるシンプルな言葉が、その軽さを増幅させています。
【嵐の中も】ってのは、彼がよく使うメタファーです。
端的に言うと、困難とか、そんなニュアンスの境遇を通過した人の過去を、その言葉で想起させてます。
更にその状況を肯定しつつ、何度も言う訳ですよ。
「いこうよ」と。
そこで自分の心が、自分とフィットしていく感覚が湧き上がるんですよね。
不調和の自分が、自分とシンクロする一体感。
それだけ毎日が、自分じゃないみたいな気分だった事も、ついでに思い出す。
心の中でバラバラに散ってる自分の目線を、同じ方向に向けるような、旗の役割を果たしてます。
「こっちだ」って、遠くで誰かが教えてくれるようなね。
そこに居るのは誰か?って目を凝らすと、理想の位置に立つ自分だったりします。
この曲を、何回も聴きたくなるメカニズムは、そこにあります。
この曲に限らず、藤原基央の並べるキーワードは、埋もれてしまいそうな自分、或いは既に埋もれてしまった自分に、焦点が当たるような構成になっているんですよ。
彼は昔から、こんなニュアンスの事を言ってます。
そんな寒いトコ今すぐ出ておいで
出典:アルエ
BUMP OF CHICKEN/藤原基央
こんなところにいたの
側においで 逃げなくていいよ
出典:メーデー
BUMP OF CHICKEN/藤原基央
もう、こういう人なんですよね。
だからそれが曲に宿る。
そして、曲自身が意思を持って動き回るかのように、純度の高い自分の場所を探し当てて、光を当てる訳です。
仕舞いには、引き摺り出される訳です。(実質、引き摺り出してるのは自分なんですが)
言うなれば、彼は心のサルベージシンガーですね。
与えられた居場所が 苦しかったら
そんなの疑ったって かまわないんだ
体は信じているよ 君の全部を
(渇いた喉が震えて)叫びたい言葉が輝いている
出典:望遠のマーチ
BUMP OF CHICKEN/藤原基央
Aメロがコーラスになって、Cメロに乱反射しながら重なっていく構成。
滲んだ解像度が増していくような、クリアな感覚。なんとも心地がいい。
陳腐な事を言いますけど、この曲を聴いたら前向きになりました。
「この心に足が生えてたら」会心の一撃/RADWIMPS
MVに登場する、ごちゃ混ぜになった属性のキャラクター達。
このバラエティ豊かな多様性が、愉快な気持ちになります。
なんだかよくわからない、ワクワク感を醸してて面白いですよね。
特に、耳付き帽子の男の子が、めちゃめちゃこの世界観のアクセントになってます。可愛い。
しかしながら、このMVの映像の方に気持ちが持ってかれちゃうと、感じ方が画一的になってしまう気がします。
敢えて、音と言葉だけをちゃんと聴いてほしいです。熱いです。
あと何万回の後悔で 僕は僕の期待を超えられるだろう
この心に足が生えてたら 今日の行き先は違っていたかな
就職試験の合格通知 面白い人間の不合格通知
心は彼方 全力疾走で もういないだろう 「俺に用はないだろう」
出典:会心の一撃
RADWIMPS/野田洋次郎
【この心に足が生えてたら】
心の望むように、行きたいように、やりたいようにはいかない日々ですよね。
何故なら、世の中はそれを阻む理由で溢れているからです。
息苦しさを感じながら、心と体のズレを感じながら。
それでも、その誤差を埋めようと抗う人には、この曲はきっと響く筈ですよ。
自らの心に、置き去りにされてしまわないように、見限られてしまわないように。
自分で自分の背中を、押すに値する自分で居る為に、相応しい自分を目指して。
「さぁいこう」New Tribe/a flood of circle
a flood of circleって追い掛けてるだけで、とてもドラマチックなバンドです。
ギター失踪したり、ベース脱退したり、ギター加入したけど辞めたり。
しかも、佐々木亮介の分母に据えられている音楽のルーツはブルース。
燻ってる人は特に響く筈です。
個人的な記憶としては、この曲は当時、仕事を辞めた時と、重なったタイミングでリリースされました。
なので、歌詞がタイムリーに懐に飛び込んで来て、嬉しかったですね。
唄って、状況や状態と歌詞がバシッと重なった時に、とんでもないシナジーを生む媒体ですからね。
その時期は、ずっとヘビロテしていました。
正に「さぁいこう!」って、そのままの状況と気持ちだったので。
細胞 知らぬ間に 再生してきたんだ
コンクリートの下の命のように
出典:New Tribe
a flood of circle/佐々木亮介
直喩の使い方がシビれます。
「横切って颯爽と」呼吸を忘れて/ircle
ircleの映像の格好良さと、曲の格好良さが、拮抗しているような珍しいMV。
ミッシェルを彷彿とさせるバキバキの演奏に、河内健悟(敬称略)の力強いファルセットが乗っかる。
音で聴き手の心を牽引しながら、文字通り疾走していく。
この曲聴いてると、頭の中で誰かが走り出しますよね。
色んなMVがありますけど。
基本的にMVって、おまけなので、そこに期待しちゃいけないと考えています。
あくまで曲が主体ですからね。
曲の持つ魅力と、映像の持つ魅力が、相乗効果でクロスオーバーしているような、絶妙なバランスを保っているものって珍しいです。
寧ろ、曲が魅力的であればある程、映像が邪魔になってしまう事の方が大半だと思います。
自分の感動や、イメージの方が強過ぎて映像を上回らないから、却って邪魔になる事ってありません?
曲が引き起こす、自分の心に起きる現象に、映像ごときが勝てる訳が無いと思うんです。
誰かが作ったイメージより、自分が感じたイメージの方が、強いのは当然です。
それ位に、音楽は心に寄り添う力があるって話。
感じるか、感じないか。それだけですからね。
「嵐の中嬉しそうに」sailing day/BUMP OF CHICKEN
バンプ再びです。
この曲を初めて聴いたのは高校生の頃で、且つ映画館のエンドロールでした。
劇場版ONE PIECEの、タイアップ曲だったんですよね。
当時所属していた、陸上部の皆んなで見に行った記憶がありますね。
僕からすれば、バンプとワンピースは、大好き×大好きだったので、そりゃもう喜びで鼻血出るかと思うくらいの組み合わせですね。
フェードインしてくるアルペジオからのブレイク!
WHITE ASHのinsightとかもそうなんですけど、頭からキメキメのブレイクで入る曲って、訴求力が強いですよね。
どんなリズム、どんなメロディが始まるのか。「そっから次どうすんの?!」と云う期待の高まり。
この一瞬に入る緊張感が、小気味良いのです。
sailing dayは、漫画家を目指していた時代、イヤホン耳に突っ込んで夜中の公園で、タバコ片手に泣きながら聴いてました。
この曲には何万回、カラカラの気持ちを乗せてきただろう。
それ位、向かってる感、臨場感の詰まった曲なんですよ。
「この曲で感情が動く内は、大丈夫だ」と、心のバロメーター代わりにしていました。
嵐の中嬉しそうに 帆を張った愚かなドリーマー
出典:sailing day
BUMP OF CHICKEN/藤原基央
このセンテンスだけで、此処じゃ無い何処かへ向かって居る人の心情を、見事に代弁していますよね。
嵐の中と云うメタファーを、この頃からずっと使い続けている点が、藤原基央らしさ、彼の一貫した哲学を感じさせます。
嬉しくてしょうがないんですよ。
予感と期待引っさげて、嵐の中に突っ込むってのは。
恐怖を感じる先にこそ自分に必要なものがある
原始時代の名残で、大袈裟に言えば、人間には【未知=死】みたいな認識が根付いています。
少なくとも脳は、よくわからないものに対して、怖いと云う気持ちが生じるようにプログラムをされてます。
コンフォートゾーンから抜け出す事は「危険だ」と、感じるように出来てるんです。
だからこそ、【行動】に価値があるんですよね。誰もやらないから。
「大事な事は全部面倒くさい」みたいな事を、宮崎駿(敬称略)も言ってたしね。
心に風が吹いたなら、次は行動です。
逃げてるのか、立ち向かってるのかって、端から見れば三者三様、十人十色ですね。
でも、走り出している事は事実です。外野はどうでもいいです。
重要なのは、当人の心で何が起きているのか、それをどう自覚しているのかって話です。
自覚的に走っているのなら、それは、どっちだっていいですよね。
何かを変えようと、抗っている事に変わりはありませんからね。